「これ、ウチのことかも!」
そう感じた時点で、もうあなたは十分がんばっています。
この記事は、私が父の「ステルス介護的な関わり方」と向き合った体験談から生まれました。
エピソードは、こちらにまとめています。
▶ 先に体験談を読みたい方はこちら:
父、介護へ強制参加
ステルス介護とは、本来は見えているべき介護の負担が、いつの間にか誰か一人の肩に乗っているのに、周りからも、本人からもその重さが見えにくくなっている状態のことだと私は思っています。
表向きには「みんなでなんとなく支えている」ように見えても、実際に動いているのは、ほぼ一人。
私自身、「あれ? もしかしてこれ、おかしくない?」と気づくまでに、かなり時間がかかりました。
そんな「ステルス介護」を少しでも“見える化”するために、簡単なチェックリストを作ってみました。
ステルス介護チェックリスト① 介護を担っているあなた自身の状態
まずは、いちばんがんばっている「あなた自身」のチェックからです。
当てはまるものに、心の中でチェックを入れてみてください。
- □ 自分がどれだけ介護しているか、家族の誰もちゃんとは把握していない気がする
- □ 気づいたら、自分がやるのが当たり前になっている
- □ 「手伝ってほしいけど、今お願いしても嫌な顔をされそう」と思ってしまう
- □ 家族から「言ってくれれば手伝うのに」と言われるが、実際は言いづらい
- □ 手伝ってもらうには、説明や準備が必要で、それが面倒で自分でやってしまう
- □ 自分が体調を崩したら、この家は回らないと思う
- □ 「私がやらなきゃ」が口癖、もしくは頭の中によく浮かぶ
3つ以上あてはまる場合、すでにステルス介護状態に近づいている、もしくはその中にいる可能性があります。
ステルス介護チェックリスト② 「しているつもり」になっている家族・周囲の人
ここからは、家族や周囲の人の様子を思い浮かべながら読んでみてください。
(誰かを責めるためではなく、「構造」を見るためのチェックです)
- □ 「自分なりにはやっている」とよく言うが、具体的に何をしているのかは曖昧
- □ 介護について話すと、「自分には無理」「プロに任せた方がいい」とすぐに引く
- □ 「分からないから」「失敗したら怖いから」を理由に、日常の介助には関わらない
- □ 手伝う時は「いいところ取り」(たまのお見舞い・買い物)だけになっている
- □ 施設やサービスの話はするが、「自分の役割」については口にしない
- □ 外では「家族で協力して介護している」と言っている
2つ以上あてはまる場合、その人は「介護しているように見えて、実はほとんど実働していない」いわば、もう一つの意味での「ステルス介護側」かもしれません。
ステルス介護チェックリスト③ 家庭内の“見えないルール”が生んでいるもの
次は、家や家族全体の状態を見るチェックです。
- □ 「誰が何をやるか」をきちんと話し合ったことがない
- □ 介護の話し合いをすると、すぐに感情的になってしまう
- □ トラブルが起きた時の対応(夜間の発熱、転倒など)が決まっていない
- □ 家族の誰か一人が倒れたら、介護も家事も一気に止まりそうだ
- □ 「できる人がやる」「時間がある人がやる」が合言葉になっている
- □ 周囲の人から見たら「うまく回っている家庭」に見えるが、内情はギリギリだ
1つでも当てはまる場合、介護が「個人の善意」と「空気」に頼りきった状態になっている可能性があります。
チェックが多かった時に、最初にやってほしいこと
もし、「これ、ウチだ……」と思ってしまったとしても、それはあなたが怠けているからでも、家族が全部悪いからでもありません。
介護は、いつから始まったのかもハッキリしないうえに、仕事のように「引き継ぎ」も「マニュアル」もなく、そこに感情と家族の歴史が絡みつく、とても厄介なものです。
だからこそ、いきなり完璧な分担を目指さないことをおすすめします。
- 「この3つだけは、私じゃなくてもできるよね?」と、小さなタスクを一緒に考えてみる
- 「ここまでは私がやるけど、ここから先はお願いしてもいい?」と線を引いてみる
- 「今日あったこと」を共有する時間を、週に1回だけでも持ってみる
最初から「24時間の分担表」を作ろうとすると、たいてい頓挫します。
むしろ、
いま、どこに負担が偏っているのか。
どこなら、少しだけ渡せそうか。
この2つが見えるだけでも、大きな一歩です。
ステルス介護を「見える介護」に変えるということ
「ステルス介護」とは、本来は見えるはずの介護の負担が、いつの間にか誰か一人に押し付けられてしまう状態なのだと思います。
介護される側であっても、介護する側であっても、その負担が見えないまま続く限り、いずれどこかで限界が訪れます。
我が家の場合、それは「介護を支えているように見えて、実際にはほとんど関わっていなかった父」という形で現れました。
話し合い、衝突し、ときには怒鳴り合い、それでも少しずつ役割を共有していくことで、ようやく“ステルス”ではない介護に近づけたのだと思っています。
もし、あなたの家にも「ちょっとこれ、ウチっぽいな」と思うところがあったら、このチェックリストが「誰が悪いか」を決めるためではなく、「どうすれば一人で抱え込まなくて済むか」を考えるきっかけになれば嬉しいです。
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ステルス介護状態だった父と向き合い、少しずつ「見える介護」に変えていった過程を綴った体験談です。
