主たる介護の担い手が、私と父(正直、半人前)になると覚悟したとき、姉妹でもなく、近所の人でもなく、「絶対に頼ろう」と決めたのが公的な福祉サービスでした。
家計が許す範囲で、できる限りプロの力を借りなければ、きっと自分が先に潰れてしまう。そう言い聞かせながら、これまで介護を続けてきました。
まずは地域包括支援センター
別府市に介護申請を行うと、調査員の方が自宅を訪問し、その後、介護度認定の通知が送られてきました。
認定結果以上に驚いたのは、同封されていた一枚のプリントです。
そこには、市内の介護施設の一覧と連絡先がずらりと並んでいました。
「ここから先は、自分たちで介護環境を整えていってください」というメッセージなのだろう、と感じました。
ホームページを見ながら、良さそうな施設に何件か連絡してみましたが、返事はどこも芳しくありません。
認知症の初期段階でまだ動き回れること、加えて糖尿病による食事管理の必要性が、受け入れのハードルを上げているのかもしれません。
このまま一覧に載っているすべての施設に電話をかけ、事情を説明し、今後の介護を共に担ってくれるパートナーを見つけられるのだろうか。
そう思うと、目の前が真っ暗になるような気持ちでした。
調べていくうちに、「まずは地域包括支援センターに相談を」という記事を見つけ、近所のセンターに電話をしてみました。
すると、「まずはお会いして、お話を聞かせてください」と言っていただき、事務所を訪ねることになりました。
対応してくださったスタッフの方が、驚くほど親身で優しく、思わず感動してしまいました。
丁寧に話を聞いていただいた結果、「まずはケアマネージャーさんを探しましょう」ということになり、母が以前、骨折でお世話になった病院系列の福祉施設の方を紹介していただきました。
ケアマネージャーさんは、まるで魔法使い
地域包括支援センターから紹介されたケアマネージャーさんが、施設の責任者の方と一緒に自宅を訪問してくださいました。
そこで、母の状態や家族の状況について、じっくりと話を聞いていただきました。
「ご家族の負担を減らすために、まずは週2回ほどデイサービスに通ってみてはどうでしょう」
「足元が不安定なので、杖の使用を検討しましょう。玄関には手すりも必要ですね」
そんなふうに、具体的で細やかな提案を次々としてくださり、母と家族にとって生活しやすい環境が、少しずつ形になっていきました。
あちこちで断られていたデイサービスも、ケアマネージャーさんを通すと、驚くほどあっさり決定。
玄関の手すりも、介護保険を利用したレンタルで設置できました。
「いっそ購入したほうがいいのでは?」とも思いましたが、それはまったくの素人考えでした。
福祉用具専門店さんの存在
ケアマネージャーさんの勧めで玄関に手すりを設置することになり、福祉用具専門店さんに来ていただきました。
現場を確認していただくと、二段のステップの下に斜めのスロープがある、少し特殊な構造の我が家の玄関にも、ぴったり合う手すりを提案・設置してくださいました。
その後も、母の状態が変わるたびに、ケアマネージャーさんを通して、さまざまな福祉用具を提案・設置していただいています。
玄関の手すり、浴室用のシャワーチェア、浴槽に入るための台、浴室内の手すり、電動ベッド、室内用の車椅子まで。
福祉用具専門店さんは知識が豊富で、状況に合った製品を的確に勧めてくださるため、本当に心強い存在です。
もしこれらをすべて自分たちで調べ、購入していたら、費用も手間も相当なものになっていたと思います。
一部購入したものもありますが、多くはレンタルで安く利用できており、心から助けられています。
介護を家族だけで続けることの難しさや、プロの支援を受けることの意義については、以下の記事でも深くまとめています。ぜひ併せてご覧ください。
▶ 家族介護の現実と、プロに任せるという選択2(oyalog.org)

