母の“トイレの困りごと”との長い戦い(前編)

介護の知恵袋

母の異変に気づいたのは、自分でトイレに行くことを忘れてしまい、ズボンが濡れる日が続いたことがきっかけでした。理由を尋ねても、「我慢してた」「ちょっと漏れただけ」と誤魔化されるばかり。始末をするのはいつも私で、ここから長い排泄トラブルとの戦いが始まりました。

トイレへ行くこと自体を忘れるように

「どうしていつも濡れているの?」と何度聞いても、母は言い訳ばかりで行動が変わりません。ついには、不正出血のような血がズボンに付くことがあり、慌てて婦人科へ連れていきました。

また、10年近く通っていた整骨院でも、先生の口調が少し厳しく感じられるようになり、「もしかして施術中に失禁していたのかもしれない」と思い、整骨院通いをやめました。

排便はなんとか1日1回はできているようでしたが、排尿は自覚できていない様子でした。「汚れた洗濯物を片付けるのが本当に大変なの」と説得し、リハビリパンツ(紙パンツ)を履いてもらうことにしました。

リハビリパンツでも漏れてしまう理由

しばらくは順調でしたが、またしてもズボンが濡れるようになりました。大容量で吸収回数も多いはずのリハビリパンツなのに、なぜ漏れてしまうのか。不思議に思い、入浴介助のときに確認してみました。

母は身長の割に小太りで、ウエストに合わせると、またぐり(足の付け根)がスカスカになっていました。逆に、太ももに合わせるとウエストがきつくなってしまいます。そのため、どうしてもウエスト優先で履かざるをえず、隙間から尿が漏れてしまっていたのです。

昔は「大根足」と言われるほどしっかりしていた脚も、今ではすっかり筋肉が落ち、かなり細くなってしまっていました。

漏れることを前提に工夫を重ねる日々

今では当たり前になりましたが、ベッドには防水シートを敷き、布団を濡らさない工夫をしました。それでも、パジャマや防水シートを毎日交換する日々が続きました。

日中、家にいるときは、午前中は2回ほどトイレに行けば足りますが、午後は2時間おきに母をトイレに連れて行かなければ、ズボンや座椅子の座布団を濡らしてしまいます。

夕食時にノンアルコールビールを飲んだ日は、夜中に母を起こしてトイレに連れて行かないと、朝にはパジャマも防水シートもびっしょり濡れてしまいます。

それでも、トイレに連れて行ったときに実際におしっこが出ることは稀で、大抵はリハビリパンツの中で用を足している状態でした。

排便にも気づけなくなった日

ある日、居間に入ると、強い便の臭いがしていました。一緒にいた父は気づいていない様子でしたが、母をトイレに連れて行こうと立たせた瞬間、ズボンの中から便がこぼれ落ちてきました。

急いで靴下の中にズボンの裾を入れ、これ以上便が床に落ちないようにしてから風呂場に向かい、全身を洗い流しました。そのとき、「ついに母は排便しても分からなくなってしまったのか」と大きなショックを受けました。

おしっこ対策+うんち対策で現場はパニック

硬めの便ならまだ対処しやすいのですが、母は軟便が続いていました。少し毛足の長い綿のようなパッドで受け止められるかと思い、いろいろ試してみましたが、結局は足の付け根から漏れてしまいます。

パッドを二重にしたり、横向きに当ててみたりしても、母が寝返りをするとパッドがズレてしまい、結局漏れてしまいます。

尿もれ用のズボンも購入して履かせてみました。確かに尿もれはかなり防げましたが、ズボンの中が蒸れてしまい、リハビリパンツから漏れた便がズボンの中に溜まってしまって、上手く機能しませんでした。

時には、1日に3回も排便を失敗し、そのたびに母の衣類を洗うこともありました。

ケアマネジャーに相談し、ついにオムツという選択肢へ

自分一人では解決が難しいと感じ、母のケアマネジャーさんに相談しました。そこで、次のようなアドバイスをいただきました。

「お母様は嫌がるかもしれませんが、オムツを使ってみてはいかがでしょう。尿の吸収量もリハビリパンツより多いですし、鼠径部(足の付け根)にぴったり当てられますから。」

その言葉を受けて、思い切って介護用オムツを使ってみることにしました。