親が高齢になると、認知症でなくても「危険はないか」「困っていないか」と心配事が増えていきます。わが家では見守りカメラを導入したことで、家の中はもちろん外出先からも様子を確認でき、介護に対する不安やストレスが格段に減りました。
毎日が「音に敏感」な日々
母がまだ自力で歩けていた頃、わが家の悩みは石油ファンヒーターの灯油タンクでした。「危ないから触らないでね」と何度言っても、母は気になって蓋を開けたり、タンクを持ち上げようとしたりします。二階で仕事をしていても蓋が開く音がすると、ダッシュで階段を駆け降りる毎日でした。
不審電話で個人情報を言いかけたときも、音に気づいて慌てて止めに行きました。
お湯のみを落とす音、座椅子から転げ落ちてガラス窓にぶつかる音……その頃は、家じゅうのあらゆる音に過敏になっていました。
思い切って見守りカメラを導入
他の方の介護体験記で「簡単に設置できる見守りカメラ」の存在を知り、導入を検討しました。しかし、急にカメラを設置したら母が嫌がるのでは、と躊躇もありました。
とはいえ、神経をすり減らしている自分がストレスを母にぶつけてしまうほうが問題です。思い切って両親に話し、導入を決定しました。
最初こそ母は警戒していましたが、1か月もすると興味を失い、あまり気にしなくなりました。私のほうは、仕事中でもスマホで様子が確認できるようになり、ようやく心に余裕が生まれました。
父の“おふざけ”に激怒
順調に使えていると思った矢先、事件が起きました。
父が母をなだめるときに、
「言うことを聞かないと、ほら、監視カメラから見られてるぞ」
と言っていたのです。
「監視目的じゃなくて、安全のための『見守りカメラ』だよ」と何度説明したのに、カメラ越しに何度も「監視カメラ」と聞こえてきて、思わず居間へ駆け下りて父を叱ってしまいました。
母はまだ歩ける状態。気に入らなければカメラの電源を抜くことだってできてしまいます。
私の剣幕に父も反省し、その後はきちんと「見守りカメラ」と呼ぶようになりました。
追加導入のきっかけ
その後、父が朝食中に原因不明のけいれん様症状を起こし、救急搬送ののち1週間入院したことがありました。居間の1台だけでは不十分と感じ、台所にも追加でカメラを設置しました。
台所は火や刃物があるため危険も多く、母がコンロを触らないかなど、離れていても確認できるようになりました。(この頃から母は歩行が難しくなり、椅子に座りっぱなしの生活になっていました。)
さらに、老人宅を狙った強盗事件が多発した時期には玄関にも1台追加。録画用のSDカードを入れ、人の動きを記録するようにしました。
設置直後、歩行困難だったはずの母が、壁づたいに玄関まで移動し、鍵の確認をしていた映像が残っており、家族全員で驚きました。
導入から4年以上——暮らしの一部に
見守りカメラはすっかり生活に馴染み、父の外出の記録や、怪しい勧誘が来た際の確認など、介護以外でも役立っています。
母が入院しているときも、スマホから自宅の様子を確認でき、父が居間でクロスワードをしている姿を母と一緒に眺めたり、体調が悪いときにはカメラを移動して寝室の様子を見守ったりできました。
高齢の家族と暮らすすべての人へ
介護が本格化していない段階でも、高齢の家族と暮らしているなら見守りカメラは大きな助けになります。
不安を少しでも減らし、家族みんなが安心して暮らすための道具として、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

