気がつけば、月に4箇所の通院が当たり前に
母がまだ元気に歩けていた頃からお世話になっていた、自宅近くの診療所がありました。高血圧や高脂血症の薬をいただき、風邪を引いた時やお腹が痛い時も、まずはここで診てもらっていました。
その後、認知症の診断を受けてからは、認知症専門外来にも通うようになり、認知症薬と、発作が出た際のてんかん薬を処方されるようになりました。さらに、顔やおでこを掻いてしまうクセが出たことで、皮膚科にも通院が必要になりました。
こうした病院通いは4年ほど続き、その間に憩室炎や尿路感染が続いたことから、膀胱に管を入れる「バルーンカテーテル」を使うことになりました。
本来、カテーテルのメンテナンスは訪問看護さんが行ってくださるのですが、泌尿器科にかかっていない状態では、交換用のカテーテルや必要な器具の入手が難しいという問題がありました。認知症外来で出していただくにも限界が見え始め、万が一トラブルが起きたときにすぐ診てくれる病院がないことも、不安の種になっていました。
憩室炎の経過観察で半年に一度通っていた広域病院の泌尿器科に相談し、バルーンカテーテル関連はそちらでお願いする方針に一旦決めたものの、月4箇所の通院は想像以上に負担が大きいと感じ始めていました。特に広域病院は待ち時間も長く、1日がかりになることもしばしば。介護する側も、される側も疲れてしまいます。
3年後、5年後を見据えて維持できる体制を
今の母の状態なら、まだ何とか通院はできます。しかし、これが3年後、5年後も続けられるか?と想像すると、かなり厳しいように思えました。
さらに、もし私に急な不調や事故などが起きたら、父ひとりで母を複数の病院に連れて行けるのかと考えると、それも現実的ではありません。
以前、ケアマネージャーさんから、
- 複数の病院への通院が大変な方には、訪問医療(在宅医療)という選択肢があること
- ひとつの医療機関が全体を診てくれて、必要があればそこから広域病院に繋いでもらえること
を教えていただいていました。
その時は「母が寝たきりになった時にお願いすればいいか」とあまり深く考えていなかったのですが、今回、思い切って在宅医療について相談してみたところ、快く手配してくださり、スムーズに導入へ進めることができました。
1箇所にまとめるメリット
通院回数が減るのはもちろんですが、それ以上に「介護のしやすさ」が格段に上がると感じています。私が特に助かったと感じたのは、次の3つの点です。
- 薬の管理が格段に楽になる
- 救急車を呼ぶ前に相談できる安心感
- 訪問看護との連携がシンプルになる
薬の管理がとにかく楽になる
母は現在、
- 高血圧
- 高脂血症
- 認知症
- てんかん
- 皮膚のかゆみ止め
- 整腸剤
- 胃薬
など、多くの薬を毎日飲んでいます。
以前はPTP包装の錠剤を1つひとつ押し出し、毎食分を仕分ける必要がありました。腱鞘炎の時期は、指で押し出す作業だけでも負担が大きく、専用の押し出し器を使いながら、毎日「プチプチ」と準備していました。
在宅医療に切り替えたことで、処方が1箇所にまとまり、1回の服用ごとに分包された状態で薬を受け取れるようになりました。家族は袋に書かれた「朝食後」「夕食前」を見るだけで間違いなく準備でき、毎日の負担がぐっと減りました。

救急車を呼ぶ前に相談できる安心感
母は熱が高くなることが多く、これまで何度も救急搬送を経験しました。救急隊員の方は責めたりはしませんが、病院で診察を受けると「今回は思ったより軽いようですね」という空気を感じることもありました。
とはいえ、自宅でできるのは解熱剤と冷えピタ程度。判断が難しい場面も多いのが現実です。
在宅医療では、119番をする前に相談できる先生がいるというだけで、心の負担が大きく軽くなりました。「重症ではないけれど、このまま様子見で本当に大丈夫だろうか」という迷いを、ひとりで抱え込まずに済むようになりました。
訪問看護との連携がシンプルになる
これまでは、症状ごとに担当医が別々で、
- この薬はどこの病院で?
- この物品はどこから調達すればいい?
と、訪問看護さんにもご負担をかけてしまう場面がありました。
今は在宅医療の先生が全体を診てくださり、細かいケアは訪問看護さんが行う、という分かりやすい体制になりました。困ったときの「最初の相談窓口」がひとつにまとまったことで、こちらとしても相談しやすくなりました。
まとめ
月に4箇所の病院通いが当たり前だった日々から、在宅医療によって1つの医療機関へ集約できたことで、通院の負担・時間・不安が大きく軽減されました。母の体調や将来を考え、無理なく継続できる体制に整えられたことは、家族全員の安心につながっています。
介護では「今できているから大丈夫」と思いがちですが、少し先の未来を見据えて早めに動くことで、心と体の余裕が生まれるものだと改めて感じました。
これからも無理のない形で、母の生活と家族の暮らしを守っていければと思います。同じように通院負担で悩んでいる方の、選択肢のひとつとして参考になればうれしいです。
